機能脳神経外科センター

痙性麻痺

痙性麻痺(手足の突っ張りによる運動障害)の治療

脳・脊髄の障害のために手足が突っ張るようになり、手足を曲げられない、関節が屈曲・伸展してしまい思うように動かせない、などの運動障害のもとになる症状を痙性といいます.痙性の原因になる病気は脳性麻痺、脊髄損傷、脳血管障害、重症頭部外傷などが良く知られています.痙縮、あるいは痙直と呼ばれることもあります.

これまでは有効な治療法がなく、四肢運動療法、薬物療法、関節変形・拘縮に対する整形外科手術が主体で、多くの患者さんの悩みはなかなか改善されませんでした.しかし、この10年あまりの間に痙性の治療としてあらたな外科的治療法が注目を浴びてきています.

痙性を伴った脳性麻痺の小児には機能的脊髄後根切断術を行ないます.これは痙性の引き金になる感覚系の入力を下げるために脊髄神経の一部を切断する手術です.重度の脳性麻痺で寝たきり、あるいは痙性のためにはさみ脚になったりつま先歩行になってしまうような小児に極めて有効な手術です.痙性が軽度で、四肢の一部に限局している場合には神経縮小術と呼ばれる手術を行ないます.

重度の脊髄損傷後には疼痛を伴った痙性麻痺を生じることがあります.このような場合には脊髄後根進入部遮断術と呼ばれる手術を行ないます.

これらの手術時には手術中に神経を電気刺激したり、運動機能・排尿機能などを神経生理学的に監視しながら行ない、残されている神経機能を障害しないように注意して行ないます.

この他に,バクロフェンと呼ばれる薬を髄液(脳・脊髄など中枢神経系を覆っている体液)に注入する治療法(バクロフェン髄注療法 ITB療法)が2006年4月より,保険適応となりました.海外では広く普及している治療法で,当院でも日本国内での治験に参加しており,保険治療を開始する予定です.