機能脳神経外科センター

薬剤抵抗性てんかん

てんかんは約100万人くらい(1000人あたり8人以上)の患者がいるといわれています。
生まれつきの遺伝的素因があって起こるてんかんは、むしろクスリがよく効くてんかんで、40%くらいは成人前にてんかんが治ってしまうといわれています。ほかの40%くらいはクスリをのみ続けることによって発作が十分に抑制されます。

脳に何らかの器質的異常があるとクスリがあまり効かない難治性のてんかんになります。15~20%くらいはクスリが効かず、発作のために日常生活に支障がある患者です。 このような難治性患者の中からいろいろな検査を行って、厳密に手術の適応を決めています。

後遺症を出さないように手術のやり方も工夫されています。以前はクスリでしか治療の方法がなかったてんかんの治療法に、外科治療という新たな有力な治療法が加わったことになります。手術をした60~70%の患者が発作がまったくなくなったり、まれに出る程度になって、社会復帰している人もたくさんいます。

てんかんの手術法

てんかんの手術の基本は、てんかんの原因となっている部分(焦点)を切り取ってしまう「焦点切除術」です。

とくに、側頭葉の内側部分(海馬,扁桃体など)を原因としたてんかんは、「側頭葉てんかん」と呼ばれ,「側頭葉切除術」により約9割の人が発作から解放されます。

しかし、脳にはさまざまなはたらきがあり、場所によっては切り取ってしまうとそのはたらきが失われてしまいますので、切り取ることが出来ない場所もあります。その場合は皮質に刻み目を入れて発作の電気活動が広がらないようにする「軟膜下皮質多切術」を行います。

また、突然バターンと倒れてしまう「倒れ発作、脱力発作」には、左右の脳をつなぐ神経の束である「脳梁」を切断する「脳梁離断術」が有効です。

発作の程度や頻度を軽減する迷走神経刺激療法も行っています。